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30代後半独身が猫を飼ったら終わり?

アラフォーパパが30代後半で猫を飼いだした話を中心に、リハビリ、トゥレット症候群、日常について書いていきます

トゥレット症候群歴25年の男が「チックをする子にはわけがある」をレビュー

 

購入の経緯は? 

私は15歳でチック症になりました。

そして、41歳の現在まで症状は続いています。

1年どころか26年経過していますので、経過の長いトゥレット症候群患者に分類されるかと思います。

 

症状の波はひどく、なんとか働いて今に至っています。

 

私のチックの経過については、別途記事にまとめられればと思っています。

 

そんなトゥレット症候群歴25年、ベテラントゥレット患者の私がトゥレット症候群に関する書籍をレビューしていきたいと思います。

 

実体験も踏まえて書いていきます。



この本はどんな人におすすめ?

チックが起こる機序や薬の作用機序、治療法を理屈で理解したい方にオススメです。

 

内容は難しいですがご両親が読むのが特にオススメです。

例えば、チックが起こる機序の理解は

両親がお子さんにどう接するのが良いのかの参考になります。

 

脳構造と発達に依るのだと知っていれば「私の接し方が原因でチックになったのかな」などと自責の念を抱く必要がないことも分かります。

 

薬の作用機序と発達が、どう相互作用を及ぼすのか知っていれば、今、お子さんに処方されている薬が、どのような治療目的のためなのかが分かります。

 

内容的に難しいため、チック当事者の小中学生位のお子さんが理解するのは難しい可能性もあります。

 

実際、15歳でチックがひどい状態の私はおそらく理解できなかったと思います。

そもそも、チック当事者は得体の知れない衝動に日々翻弄されて毎日疲れ果てているかと思いますので、本を読むのすらしんどいと思います。

 

周囲の方が読むだけでも正しい知識を持つことで、適切な援助をしていくことが出来ると思います。



この本はどんな点が勉強になる? 

こちらの本は前半は

①周囲の方向けのトゥレット症候群に関する概要

→周りの方がチックを理解し、サポートしやすくなるために役に立つと思います。

 

周囲が当事者にどう関わればいいのかも書かれていますので、周囲へ理解を求める際に説明する材料としても役立つと思います。

 

②当事者や家族の方向けの詳細な知識

特に後半の有用性が高いです。

 

「より正確な理解と治療のために」のパートはチックについて科学的に詳しく記述されています。

 

私も今更ながら、自分のチックについて体感的に分かっていたことが理屈で腑に落ちた点がいくつもありました。

 

なぜチックが起こるのかについて脳の構造や、心身に作用するホルモンがどのようにチックを起こすのか、薬の作用機序、病気の予後、合併症などについて書かれています。



私は理学療法士で病院でリハビリ関連の仕事をしているため、解剖学、生理学の知識は多少あります。

それでも理解が大変な部分も何箇所かありました。

 

しかし、理解することによるメリットはとても大きいと思います。



私が発症したのは1995年、高校1年生の時で今から26年前です。その当時はチックについての正しい知識を知っている人はほとんど居なかったと思います。

通った精神科でも、これという診断がつかず対処的に薬を処方される治療でした。

 

当然両親には、「それはチックだから、やめなさい!」

とうるさく言われました。

 

あの当時の両親が、この本の知識を知っていれば、その後の関わりや関係性も変わっていただろうと思います。


両親がチックを正しく理解をし接してあげることによるメリットは計り知れないと思います。

 

本文の中にQ&Aのコーナーがあり、そこでチック症の子を持つ親からの質問に対する回答が乗っています。

A.お母さんの完璧主義のせいでチックになったと言われましたが、本当ですか?A.ちがいます。…(中略)…チックをおこしやすい脳の体質は、男の子では、チックを出しやすく、女の子ではチックではなく少し神経質な完璧主義主義の女性を作る可能性があると言われています。…(中略)…昔、脳のしくみがよくわかっていなかったときには、このためにあたかもお母さんが神経質に完璧主義で育てたからチックになったようにみえたのかもしれません。

出典:NPO法人日本トゥレット協会(2003).チックをする子にはわけがある 大月書店

 

チックの出現は神経伝達物質のアンバランスに起因すると言われ、そのアンバランスは脳の体質によって起こると言われています。

そして、その脳の体質の影響により男女で症状の出方が変わるようです。

 

母親が、完璧主義で育てたからではなく、脳の体質が親子で似ていた可能性があるのだと考えられます。

 

私も一時期、親の関わり方が悪いから、自分のチックが酷くなったのだ、と親を責める気持ちを抱いていました。

 

しかし、脳の体質の影響であることを知ったことで、そのような気持ちも無くなりました。

チックの遺伝性については、今後書籍や文献を漁って調べていきたいと思います。



どんな人が書いているの? 

編者はNPO法人日本トゥレット協会です。

執筆者は

金生由紀子〔東京大学・児童精神科医

星加明徳〔北新宿ガーデンクリニック・小児科医〕

三輪あつみ (新座志木中央総合病院・小児科医〕

太田昌孝 心の発達研究所・児童精神科医]

 

菅野善夫・彩子(NPO法人日本トゥレット協会・ 父母〕

吉沢賢 (NPO法人日本トゥレット協会・当事者]

 

野村芳子〔瀬川小児神経学クリニック・小児科医〕

瀬川昌也 〔瀬川小児神経学クリニック・小児科医〕

高木道人(NPO法人日本トゥレット協会前会長〕

 

チックの症状や治療法などについては児童精神科医や小児科医の先生が執筆されています。

菅野夫妻は当事者の両親として、吉沢氏は当事者として体験談を書かれています。



この本を読むメリットまとめ 

この本はやや難しいと思いましたが、この本を読むことで

・周囲への説明がしやすくなる

・家族がどう関われば良いか分かる

・治療法や薬への理解が深まる

といった点が特に良いと思います。

 

「チックをする子にはわけがある」

 

 おすすめです!