白黒つけyo!

                                                                              

30代後半独身が猫を飼ったら終わり?

アラフォーパパが30代後半で猫を飼いだした話を中心に、リハビリ、トゥレット症候群、日常について書いていきます

トゥレット歴25年の男による論文書評「叫び声のチック様症状を示す 40 代女性に対する ハビット・リバーサルを含んだ行動療法の効果 単一症例研究」

記事を書いているのは、どんな人?

 

私は高校1年、15歳の時にチック症になりました。
以来、26年病気と付き合っています。


高校2年でチックが酷く舌を噛んでしまう自傷も出てしまい学校に行けない日も多かったです。

その頃は音声チックも酷く、黙って授業を受けることはできず、我慢していても1分に1回は「ぁあああー!」と咳払いのような叫び声をあげてしまっていました。

 

自分では止められないし、周りには申し訳ないしで、消えてしまいたい気持ちでいっぱいでした。

 

なぜこの論文を選んだのか?

 

この度、チックに関する論文を検索していて、「叫び声のチック様症状を示す40代女性に対するハビット・リバーサルを含んだ行動療法の効果 単一症例研究」を見つけました。

内容は、叫び声様の強いチックの症状に対しハビット•リバーサルを行った結果、効果があったという内容です。

もし、私か高一の頃(1995年)、ハビット•リバーサルを受けられていたら、その後のチックとの付き合いはどう変わったんだろうなと今、思います

もし、今チックに苦しんでいるお子さんや、その親御さんがハビット•リバーサルについて知らなかったら是非
知ってもらいたいです。

とういのも、私は20歳の頃、定期的にカウンセリングを受けていた臨床心理士の方にハビット•リバーサルを教えていただき実践していました。

あの手法がハビット•リバーサルだと知ったのは最近のことです。
おそらく、臨床心理士の方はCBITやハビット•リバーサルについて専門的に学んだわけではなく、当時の少ない文献の中からチックに効く治療法を試してくれたのだと思います。

ハビット•リバーサル(だと思われるもの)を学ばせてもらったことは、正に私の人生のターニングポイントでした。

『チックの衝動を自分でコントロール出来た!』
自分の中でそう認識できたことはとてつもなく大きかったです。

『これで、大丈夫かもしれない!もしかしたら自分をコントロールして生きていけるかも知れない!』
そう希望が湧いた一連の出来事でした。

そのハビット•リバーサルの実践研究が昨年(2020年)に公表されていましたので読んでみました。

 

どんな方にオススメ? 

  • ハビット•リバーサルを知らない当事者やご両親
  • ハビット•リバーサルの効果を知りたい方
  • 経過の長いトゥレット症候群の方

 におすすめです。

 

叫び声様の音声チックがどの程度軽減したのか、実際の症例を通して提示されるのでハビット•リバーサルの効果をイメージしやすいと思います。

 

叫び声様のチック症が約数秒から数十秒に1回出ていた患者の症状が20日の入院後には出なくなり、その後.3年経過しても叫び声様のチックが出なくなったとのことです。
このように経過が長い方にもハビット•リバーサルの効果が大きかったと示されています。

チックの経過が長く、現在も強い音声チックに悩まされている方に対してもハビット•リバーサルの効果が期待できると言えるのではないでしょうか。


単一症例研究であるため、一概に他の症例へ転用が効くとは言えないでしょうが、意義深いと思います。

 

どんなところが勉強になる?

 

叫び声様のチック症が、約数秒から数十秒に1回出ていた患者の症状が20日の入院後には出なくなり、その後.3年経過しても叫び声様のチックが出なくなったとのことです。


このように経過が長い方にもハビット•リバーサルの効果が大きかったと示されています。

 

チックの経過が長く、現在も強い音声チックに悩まされている方に対してもハビット•リバーサルの効果が期待できると言えるのではないでしょうか。


単一症例研究であるため、一概に他の症例へ転用が効くとは言えないでしょうが、意義深いと思います。

 

 印象に残ったところは?

 

印象的な部分を引用させていただきます。

 

父と兄から 「うるさくて寝られない」と言われたため、自宅庭にテントを張り、そこで母親と寝泊りするようになった。
叫び声について総合病院や内科クリニックを数回受診し、検査を複数回行うも内科的な異常、身体的異常を指摘されることはなかった。
同時期に近隣住民が叫び声について警察に通報したことにより、警察官より「叫び声をやめるように」と注意を受けた。患者は叫び声をやめようと思ってもやめることができないことから、家族に「死にたい」などと発言する場面も見られた。

 

ハビット・リハーサルを受ける患者の症状が生々しく描かれています。

冗談でしょう?って思われるかも

読んでいて切なくなるようなエピソードです。


私も高校の時から音声チックが酷かったため、この方の苦しみに共感できます。

自分の体が自分の思う通りに動かせない苦しみは、もはや「生きている意味がないのではないか?」と思うほどでした。

 


効果が現れた頃の患者の様子は以下のように記述されています。

介入開始から約1カ月後に叫び声の頻度が0のまま推移するようになったため、セラピストが指導する咳払いトレーニングは終了した。患者から「これ(咳払いトレーニング)をやれば大丈夫です 」、「もう(叫び声が)鳴らなくなりました。うれしいです」といった発言が聞かれるようになった。

 

叫び声が出ることなく、ハビット•リバーサルをやれば大丈夫、と思える心境は私も経験があります。


それまでなすすべもなく振り回されていたチックの衝動に対する対抗手段を得た喜びは大きかったです。

 

どんな人が書いているの?

 

柳澤 博紀さん


愛知県にある精神科専門治療を行っている犬山病院で臨床心理士をされている方です。

 

日本認知・行動療法学会では,学会誌行動療法研究に掲載された研究論文の中から、優れたものに対して、内山記念賞を授与しています。

栁澤さんは2020年度に受賞しています。

 

まとめ

 

この論文では、経過が長い音声チックに対するハビット•リバーサルの効果が記載されています。

 

昨年(2020年)公開の新しい論文で、最新の知見を学べます。

 

ハビット•リバーサルのことを知らずに音声チックに悩んでいる方がいたら、是非読んで知ってもらいたいです。


ハビット•リバーサルのことを知りその効果を知ることで希望が持てるようになるかもしれません。

出典:叫び声のチック様症状を示す40代女性に対するハビット・リバーサルを含んだ行動療法の効果―単一症例研究― 

おすすめの論文です。

 

他の書評はこちら

 

chabudaikun.hatenablog.com